第九十五の手記

新しく買った割とおしゃれな服を着て電車に乗っていたら、京阪三条あたりで、さぁ私を愛しなさいとでもいいたげな、ギンギラの女の人が電車に乗ってきて、私の隣に座ったから、なんだか妙な、しめしめ、といった気持になった。

第九十四の手記

憧れていたあの人と初めてのデートなのに、テンションが上がらない。むしろつまらない。それはなぜかと考えた結果、私は一つの解答を得ました。付き合ってから３、４ヶ月のカップルは倦怠期を迎えると聞きます。私とあの人が知り合ってからも、ちょうど３ヶ月ほど。知り合ってより私はあの人と結婚を前提にした節度あるお付き合いを脳内で行っていましたから、実際にデートをする頃には、想像妊娠ならぬ、想像倦怠期とでも言うべきものに陥っていたのだと考えられます。つくづく、私はダメな人間です。

第九十三の手記

信じられぬ！それでいいのか！ジェットコースターに乗った後、告白をすれば、その高揚感（どきどき）を恋心と勘違いして、告白の成功率が上がる、略してジェットコースター告白。冷静になれ、それでいいのか。付き合ってしまえばどうにでもなるし、ということか。信じられぬ、己が心を真正面から受け取っていないのだぞ、相手は。わからん、そうして得た恋人に、何を求める？そもそもその人は、恋人と言えるか？落とし穴に誘い落とすようなものだ、自分の愛した人を、愚者に仕立て上げるつもりなのか！非道な！愛しき人よ、どうかどうか、理論派ぶった悪党なぞに、どうか籠絡さること勿れ。

第九十二の手記

下からの視点に惑わされるな。スカートの短い女の子が階段を上り始めたらおい、やめろ、何をするー、と勝手に被害者ぶるのはもうやめましょう。ふと渡り廊下を見上げてしまった、見ちゃった、、罪悪感を感じるのはもうやめましょう。しかもそれが彼氏と夢中で話す女の子だったりして、妙に屈服したような、そんなの、悲しすぎるでしょう。
上からの視点、そのエロさに気が付きなさい。渡り廊下を見上げるのはもうやめて、渡り廊下から見下ろしなさい。無防備なエロが、崖下には広がっています。観念なさい、３次元のこの世界で、穢れ無き眼を保つことは難しい。中途半端な純潔ならば捨てるべきです、有性生殖を行う哺乳類としては、それがきっと自然な方向。だがもし、私と共に、不安定な情動を排する業の道を行きたいのなら、目を閉じ唱えなさい、天上天下唯我独尊。これを啓蒙と申します。

第九十一の手記

いつからだろう、尿検査の結果が、恐怖の対象になったのは。