第十の手記

生まれたてのポケモンが大抵「たいあたり」を覚えているのは、まこと感慨深い事実だと思います。若いころは体当たりで頑張れ、という製作者からのメッセージなのでしょう。そう考えると、「わるあがき」すれば反動があるなど、ポケモンには隠れたメッセージが数多あるような気がしてきました。

さて、メタモンと子孫を残す、というのはどういった寓意が込められているのでしょうね。

「自惚れ」として論を進めるべきか、「バイセクシャル」として論を進めるべきか、それとも…

第九の手記

「私の手は、きっと誰かを生かす手だろうと、信じていたのに。」

生物学実験でマウスの解剖をしました。尊き白き命は、私の手の中でゆっくりと滲んでそして、クロロホルムに溶けました。私は必死になって彼の命の方舟を、尊き法衣を、ただただ隈なく見るよう努めるばかりでした。

職業の貴賎を論じる気は毛頭ありません。また命を扱う傲慢さに立ち止まるほど、私はできた人間ではありません。ただ、人に悪魔が宿ったとしたならそれは、倫理を無くした科学者だろうと思うのです。

第八の手記

オロナミンCを飲み終わり、まだ底に残っているかもしれないと、卑しくも、ビンの口をかぷっと咥えて上を向き、ほんとにもう無いのかなぁと、そのまま、ビンを上下に振ってみて



ああ、そういうことなのかしら。



と思いました。

第七の手記

「笑顔を作れません。」

よって写真が苦手です。中学や高校の卒業アルバムには個人の写真が載りますが、クラスメイトの快活な笑顔、わざとキザっぽい笑顔、はにかんだ笑顔、そして、私は笑っていません。皺です。本人が必死で作ろうとしたのであろう、笑顔の残骸が、ただ目尻から頬へと流れただけなのです。

スマイルシャッターという機能をソニーが開発したそうです。機械が笑顔を検出し、自動で写真を撮影するそうです。果たして機械は、私の皺を、笑顔と認識するのでしょうか。卒業アルバムの個人写真を撮影した、懐かしい運動場へと続くあの細い通路がフラッシュバック、顔いっぱいに皺を刻んだ私を真正面から見据えたまま、まだ足りないのですか、まだ皺が足りないとおっしゃるのですか、無言で佇むスマイルシャッター。
そんな想像に、背筋が寒くなります。

第六の手記

押切もえが好きです。
押切もえの語感が好きです。
織田信長の愛刀、圧切（へしきり）長谷部の語感に近いと思います。
たまに「押切もえ！」と言います。
押し切ってやった、くらいの気持ちで言います。
「食べ切もえ！」「読切もえ！」「やり切もえ！」など、応用ができます。
そんな押切もえの語感が、好きです。


「書切もえ！」